近い将来、起きるであろう現実を、目の当たりにした気に
昼間、実家に顔を出したとき、
ちょっとしたことなのに、お袋さんに強く言ってしまったので、
フォローも兼ねて、夜、もう一回、実家に顔を出したら、
家の中は真っ暗で、お袋さんが布団に寝込んでいた。
聞くと、ギックリ腰と。
さっきまで、元気だったのに。
短期間で治れば良いけど、もう70歳だし、このまま慢性化する可能性もある。
お袋さんがこのまま動けなければ、親父さん一人じゃ、実家の稼業は続けられない。
なにより、布団から、動けなくなったお袋さんの姿を見て、
近い将来、起きるであろう現実を、目の当たりにした気になった。
お袋さんは今年に入って、白内障で入院し、今回も腰を痛め、
身体にガタがきている。
むしろ、これまで元気だったことが、恵まれているのだろう。
俺も、来るべき日が来ることに、心の準備はしていたつもりだけど、
その予兆が見えただけで動揺してしまっている。
明日、親父さんと、
お袋さんや、店のことを含め、ちょっと話をしてくるつもり。
一番、お金が無いときに、
母の日の直前に、
こういうことが起きてしまうのだな。
50年間、続けてきた店を止めるのは、親父さんにも一大事だろうし、
それは、親父さんが決めることだろうと思って、今まで、話をするのは避けてきたけれど、
少しずつでも、心構えはしておきたい。